電子書籍で夢の印税生活をするには何冊売ればいいのか?を検証してみた

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電子書籍出版による印税率は、印刷出版による印税率と比べて圧倒的に高い。印刷出版の場合、初期の印刷費用として何百万円といったお金が必要となる。他にも、取次や小売を通すことで手数料が抜かれ、結果的に得ることの出来るのは、販売価格の10%がいいところだ。

一方、電子書籍の場合は印刷、製本、配送などの費用が全くかからないため、印税率は最大で90%程度にまで跳ね上がる。しかし90%というのはかなり稀なケースである為、今回はより一般的な70%の印税という前提で、『電子書籍で夢の印税生活をするには何冊売ればいいのか?』を検証してみた。

まず『印税生活』の定義を決める。ここでは、「印税のみで一般的な生活を送ることが出来る」というレベルで考える。そう考えると、やはり月額で25万は欲しいところだ。決して贅沢出来る金額ではないが、この金額が不労収入として入ってくれば、あとは他のネット副業も含めてノマドワーカーと名乗れる水準には居ると思う。

電子書籍の出版で月額25万の印税を得るためにはどれだけ本を売る必要があるのだろうか。現実的に可能か不可能かは置いておいて、まずは計算をしてみよう。書籍の価格が400円の場合、計算式は次のようになる。【400円×?冊×70%-消費税1.08%=25万円】これを計算すると、月に970冊売れれば25万円の印税を得ることが出来る。1日あたりに言い換えると、30冊売れば良いことになる。かなり現実的な数字ではあるが、実際に売ってみるとわかるが1日に30冊売るのは相当難しい。だが、月に30冊ならどうだろうか。私自身の体感として、良い内容の本を書けば1日に1冊は売れる。だが、月に30冊では印税は25,000円にしかならない。それならば単純計算で、30冊出版すればいい。30冊出版してそれぞれが月に30冊売れれば、印税額は25万に到達する。

 

ここで少々余談になるが、2015年度の売上ランキング上位者はどの程度の印税を手にしてたのかを見てみよう。2015年の小説売上ランキング1位はピース又吉の『火花』だ。年間売上冊数は2,232,508冊で、価格は税込1,296円。正確な印税率は不明だが相場の10%だとして計算をしてみると、【2,232,508冊×1,296円×10%=289,333,036円】となる。この数字を分かり易く言いかえると、約2億9千万円となる。だが残念ながら、小説でここまでの大ヒットを飛ばすということは通常あり得ない。現実問題、小説部門で2015年ランキング2位の本は、上橋菜穂子の『鹿の王 生き残った者 上』で274,992冊だ。この冊数だと、印税もそのまま約1/10で3千万円ほどとなる。

最近では小説よりもコミックの売り上げが好調である。今最も売れている漫画は尾田栄一郎氏の『ONE PIECE』だ。2015年度ランキングのコミック部門で1位~4位までを独占しており、その売上は1巻あたりで約300万冊。それが4冊で合計1200万冊となる。一応計算してみると、【12,000,000冊×432円×10%=518,400,000】となる。つまり、ワンピースの作者である尾田栄一郎氏は、コミックの印税のみで年間約5億2千万円を稼いでいることになる。さらに言うと、累計販売冊数は現時点で3億冊を優に突破しており、印税額は120億円を超える。ワンピースの場合、アニメ、映画、グッズなども好調である為、それらを含めるととんでもない額となる(120億円の時点でとんでもないが)。そしてこれがもしも電子書籍の印税率70%が適用されているとすると、そのまま印税額も7倍となる。恐ろしいことに、ワンピースはいまだに絶賛連載中だ。

 

話を戻す。30冊の書籍を本意気で書くのはかなりの労力が必要となる。当然時間も、頭も、体力も半端じゃなく使う。しかし、電子書籍は一度販売するとプラットホーム自体が消え失せない限り半永久的に売られ続ける為、出版を終えるまで頑張ればいいだけだ。「だからと言って古くなった本は誰も買わないのではないか?」と思う人も居るかもしれないが、それは間違いだ。電子書籍には評価やレビュー制度があり、それは読む人が増えれば増えるほど蓄積されていく。そして電子書籍は、高評価が多くついている書籍ほど売れやすいというデータも出ている。勿論本の内容にもよりけりで、2003年に発売された『最新版Office2003の使い方マニュアル』のような本(例。実在していたらごめんなさい。)が20年後に売れるかと言うとそれは難しい。一方で、『家庭で出来るお片付け術100撰』のような本であれば販売開始時期は売上に対してほとんど影響がない。1週間前に発売された3つ☆が1個ついている本と、20年前に発売された5つ☆が300個ついている本だったら、後者を購入するはずだ。

先程少し触れたコミック・マンガなんかも時間の経過に影響されることが少ない。実際問題、古いマンガが何かのきっかけで再ブームを起こしている場面を頻繁に目にするし、マンガに関しては海外展開も視野に入れることが出来る。キャラクターモノはグッズ、アニメ、LINEスタンプの販売など商業化が容易であるという点は、電子書籍に限らず印税生活を目指すうえでは重要になってくる。

 

今回『電子書籍で夢の印税生活をするには何冊売ればいいのか?』という主題のもとに話を展開してみたが、多少は参考にして頂けただろうか。これまで出版社の審査に通らず、デビューすることすら叶わずにいた潜在売れっ子作家の数ははかり知れない。何故なら大手出版社には様々なしがらみが有り、彼らが選んでいるのは「真に面白い作品」ではなく、「間違いない作品」であるからだ。そして何より、その道のプロの目と言うのは想像以上にあてにならない。何故なら、彼らは時代の流れを読み取ったり、世間の声に耳を傾けることをしないからだ。

その象徴として、テレビ局が挙げられる。ここ数年、インターネットやスマホの浸透によってテレビという媒体は衰退傾向にある。しかし、最近の若者がテレビを見なくなった最大の理由はスマホでもネットでもなく、「単純にテレビがつまらないから。」これにつきる。若者が求める、ストイックな笑いを目指すバラエティは存在していないし、テレビドラマの視聴率が悪いのも扱うテーマがありきたりで見る気すら起きないからだ。そのような視聴者の声が届いていないわけでもないし、局員としてもシュールな、ストイックな、マニアックな内容の番組を放送したいという意志は間違いなくあるはずだ。それでもテレビ局が同じようなバラエティやドラマを放送するのは、特定の層から届く「それら(シュールな、ストイックな、マニアックな内容)の番組を求める声」よりも、企業イメージを悪くするような「それらに対するバッシング」が怖いからだ。よって、結果的にはものすごく無難な、老若男女誰が見ても嫌な気にならないような番組が作られていく。

それと同じ現象が出版業界にも起きている。いや、あらゆる業界に起きているのだ。今、真に世間が求めるものを書ける(出版できる)のは、大手出版社ではなく個人出版しかない。そしてそんな個人出版を手軽に実現できるのが、電子書籍なのだ。

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